リターンを考えるだけでは不十分
仕事を考えるうえで、よく基準にされるのは「給料が高いかどうか」「楽しいか(楽か)どうか」「安定しているかどうか」の3点で判断されることが多い。
給料が高い職業は、話題になることが多く、「XXになれば年収xxx万円」などと言われると分かりやすい。
楽しいか(楽か)どうかは、「残業がない」「ノルマがない」「オフィスワークです」など、自分がやりたくない事はしなくていいような内容であれば、良さそうだと感じる。
安定しているかどうかは、「クビにされない」「大企業なので会社が潰れない」などで判断される場合が多い。
一般的に、自分がかけた時間に対して得られる金額を「リターン」と言うが、
最近では「楽しいかどうか」「安心していられるか」をリターンとして考える人もいる。
人の価値観はそれぞれでいい。
お金の多さよりも、楽しさを優先する人もいるだろう。
ただ、どんなリターンにしても「リターン」が良いか悪いかだけで判断するのは危険だ。
未来の事は期待値で考える
今の事は「リターン」で考えるのは自然な流れだが、未来の事は「リターン」だけでなく「期待値」で考えるように心がけよう。
期待値は「実現可能性」X「平均リターン」から計算される。
話を単純にするために、リターン=お金として考えよう。
例えば、いわゆる「普通の子供」の場合で考えるとしたら…
プロ野球選手は、平均給料(年俸)は高いが、なれる確率が低いので、期待値も低くなる。
銀行員の場合は、平均給料はまあまあ高く、なれる確率もまあまあ高いので、期待値は高め。
ただし、人それぞれで条件は違う。
違う人の場合も考えてみよう。
「甲子園で優勝した高校のレギュラーの子(勉強はできない)」
の場合なら…
プロ野球選手は、平均給料(年俸)は高く、なれる確率もかなり高いので、期待値はとても高くなる。
逆に、銀行員で考えると、平均給料はまあまあ高いが、なれる確率はかなり低くなる。
ということで、期待値は低くなってしまう。
なので、一般的には実現可能性が低い道でも、自分にとっての期待値がどうなるかは分からないから、どんなことでも、始める前から完全に諦める必要はない。
しかし、早い段階から期待値の低い事に全てを賭けてしまうことはかなり危険な状態だと言える。
継続性も大切
リターン、実現可能性(期待値)と共に重要なことがもう1点ある。
それは継続性だ。
プロ野球選手は、頑張っても40歳ぐらいまでしか活躍できない。
「リターン」は大きいが「継続性」は半分になる。
となると、最低でも現役時代に人の倍は稼がなければいけないことになるし、その後、収入が少ない状態で生きていく時間も、人の倍長くなる。
次に、身近な職業の例として Youtuber で考えてみよう。
前提として、動画を作る技術があり「実現可能性」は高いことにしておく。
自分の好きな事なので「リターン」も高い。
ただ、「継続性」は限りなく低い。
20代のころから始めたとして、40年間 Youtuber だけで稼ぎ続けるのはほぼ100%不可能だ。
10年前まで Youtube の運営会社が、クリエイターにお金をくれる仕組みがなかったので、そもそも Youtube で稼ぐことなどできなかった。
それと同じで、40年後に Youtube が今のままサービス継続している可能性もほぼゼロだからだ。
趣味(副業)で Youtuber になることは、そこそこ良い選択かもしれない。
趣味であれば、期待値もそれなりに高いかもしれないが、
職業として Youtuber 1本でやっていくのは厳しいと言わざるを得ない。
Youtuber になるならなるで、Youtube 以外の収入源を確保しておいたり、そこから別のモノに展開していくために、常に考えておく必要があるだろう。
最終的に選ぶのは自分!
eスポーツ選手でトップになれれば月収30万円!
優勝賞金1億円の大会もある。
などとよく言われるが、eスポーツ選手の平均収入はとても低い。
という訳で、リターンはかなり低く、期待値もとても低く、継続性もめちゃくちゃ低い。
職業としては最も難しく、最も見返りが少なく、将来最も苦労する確率が高い職業の一つだと思う。
でも、じゃあ、それでもeスポーツ選手に絶対になりたい人はどうすればいいのか?
これは、
「自分で決めて自分で選んだのなら、一生懸命頑張れ。」としか言いようがない。
難しい道を選ぶことは、悪ではない。
ただし、その結果としての自分の人生は、自分自身の責任で生きていくしかない。
社会が悪い、運が悪い、周りが悪い、会社が悪いなどと言い訳を言っても何も良くならない。
自分が難しい道を選んでいることを自覚して、それが実現できなかった場合でも困窮しないように、バックアップを用意しておくなど、自分の人生を楽しく過ごしていくことができるように常に考えておこう。
最後に
蛇足になるが、「抜け道を探す(少しズルをする)人」よりも「真面目にやっていく人」の方が、総合的なリターンはかなり高いという研究結果がある。
ドラマなどで、ズルをしたり人を裏切って出世しても最終的にダメになったりするように、
現実世界でもその通りだと、しっかりと研究データで示されている。
しかも日本だでけなく、アメリカでもヨーロッパでも、更に中国でもそうだという事だ。
これも、抜け道は、継続性が低かったり、そもそも違法だったりする場合が多いからだ。
もちろん、違法という時点で、人に迷惑をかけるという事なので、そもそもやってはいけないのだが、
それに加えて、一見儲かりそうな選択肢だとしても、違法行為であれば逮捕されればそれでお終い。
継続性はとても低いし、逮捕されてしまったら、その後普通の人生に戻る事すら難しくなってしまうので、マイナスのインパクトが強すぎる。
違法だからダメだという当たり前の理由に加えて、期待値と継続性が低くて選ぶメリットもないし、その他のデメリットも多すぎる。
違法でないとしても、いったん冷静になって、実現可能性、継続性から判断すれば、ズルをするよりも真面目にやっていく方が、最終的な総合的リターンが高いと覚えておこう。